これまで、主に中小企業から、ある程度規模のある法人まで、本当に多くの経営者の方と向き合ってきました。
業種は、医療を中心に、サービス業などさまざまです。
その中で、よく聞かれる質問があります。
「社長に必要な資質って、何だと思いますか?」
今回は、税務や数字のプロとして、そして20年近く“社長の現場”を見てきた立場から、社長に向いている人の特徴についてお話ししたいと思います。
社長に向いている人=特別な才能がある人、ではない
最初にお伝えしたいのは、
社長に向いている人=カリスマ性がある人、頭の回転が速い人
というわけではない、ということです。
また、プレゼンが得意だったり、会話がとても上手だったりすることも、必須条件ではありません。
実際に、長く会社を続け、安定した経営をしている社長の多くは、派手さよりも現実を大切にし、地に足のついた考え方をされています。
では、そうした社長には、どんな共通点があるのか。
私が日々の顧問業務や決算、経営相談を通じて感じてきた特徴を、これからいくつかご紹介していきます。
1. 完璧を求めすぎず、決断ができる人
社長業において、100点満点の判断ができる場面は、ほとんどありません。
・情報が十分にそろっていない
・先の見通しが立たない
・何が正解なのか分からない
そんな不確かな状況の中で、それでも判断を下し、前に進めていく必要があります。
経営とは、常に「不完全な情報の中で決断する仕事」だと言っても過言ではありません。
社長に向いている人は、
6〜7割程度の納得感があれば、一度決断し、動きながら修正していける人です。
一方で、数字が得意で分析力があっても、
「もっと情報がそろってから」「確実になってから」
と慎重になりすぎてしまうと、判断が遅れ、チャンスを逃してしまうことがあります。
経営においては、完璧さよりもスピードが求められる場面も多く、
決められない状態が続くこと自体が、会社にとって大きなリスクになる場合も少なくありません。
2. 数字から逃げない人
税理士としては、ここは外せないポイントです。
社長に向いている人は、 「数字が得意」ではなくても、数字から逃げません。
・売上 ・利益 ・人件費 ・資金繰り
これらを感覚だけで判断せず、「今どうなっているか」を把握しようとします。
一方で、経営がうまくいかないケースでは、 「数字は税理士に任せているから」と言って、現状を把握していないことが少なくありません。
数字は、会社の健康診断書です。 それを見ずに経営をするのは、目を閉じて車を運転するようなものだと感じています。
3. 人のせいにしすぎない人
20年の経験の中で感じるのは、 長く続く会社の社長ほど、他人のせいにしないということです。
・景気が悪いから ・社員が育たないから ・取引先が悪いから
もちろん、外部要因はあります。 ですが、社長に向いている人は、最終的に 「自分にできることは何か」を考えます。
この姿勢がある社長の会社は、多少のトラブルがあっても立て直しが早い印象があります。
4. 長期目線ができる人
経営には、時間がかかることが多くあります。
・売上が伸びるまで ・社員が育つまで ・仕組みが整うまで
社長に向いている人は、 短期的な結果だけで一喜一憂しすぎません。
数字を見ながら、改善を重ね、粘り強く続けていく。 この「待てる力」は、経営において非常に大切だと感じます。
5. 人に頼れる素直さを持っている人
意外かもしれませんが、 「一人で抱え込まない人」は、社長に向いています。
社長というのは孤独だと言われますが、もちろんその側面も大いにありますし
最終的には決断を迫られ自分自身で舵を切っていかなければいけません。
ですが長く社長業していると色々な壁にぶつかります。そうなったときに
・税理士 ・社労士 ・金融機関 ・信頼できる経営者の仲間
誰かに相談し、自分の考えに固執せず、客観的な意見を取り入れられる社長ほど、判断の精度が高くなります。
特に法人経営では、「知らなかった」では済まされないことも多いため、 専門家をうまく使えるかどうかは、大きな差になります。
そしてそのアドバイスを素直に聞けるというのも大事な要素になってきます。
社長に向いているかどうかは、途中で育つ
ここまで読んで、「自分は社長に向いていないかもしれない」と感じた方もいるかもしれません。
ですが、安心してください。
社長に向いているかどうかは、最初から決まっているものではありません。
実際に、最初は不安そうだった方が、数年後には立派な経営者として会社を率いている姿を、これまで何度も見てきました。 特に二代目社長として事業を引き継ぎ、試行錯誤しながら成長されていく過程を、すぐそばで見てきた経験も多くあります。
社長として大切なのは、特別な才能よりも、
・学び続ける姿勢 ・数字から目をそらさない習慣 ・相談できる素直さを持つこと ・受け取ったアドバイスを、実際の行動につなげること
これらを、少しずつ整えていくことです。
税理士は、決算や申告だけを行う存在ではありません。
日々の数字を通して、社長の悩みや迷い、そして覚悟に触れる仕事だと、私は感じています。
もし、 「これから法人経営を本格化したい」 「今の経営判断が本当に正しいのか不安」
そんな思いを抱えているのであれば、一人で抱え込まず、ぜひ信頼できる専門家に相談してください。
私はこれまで、経営が思うようにいかず悩んでいる方や、安心できる経営を目指したいと本気で考えている方と、真摯に向き合ってきました。 そして今も、その姿勢は変わらず、クライアントの皆さまと日々向き合っています。
博多という街で、多くの社長の隣を歩いてきた経験が、少しでもあなたのお役に立てば幸いです。

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